財布を盗ったと疑われた時の対応方法


質問:

私は、夫の実家で、夫の母親を介護しています。
その義母が、ある日「財布が盗まれた。あんたが盗ったんでしょう!?」と、私を責めてきました。
もちろん、私は義母の財布を盗っていませんので、「いやいや、そんなことしませんよ」と言ったのですが、義母は、どうしても、私が財布を盗ったと言いはります。
これまで、義母のお世話を続けてきた私に対して「泥棒扱い」する義母に対して憤りを感じます。
私は、どのように対応したらよいのでしょうか?


回答:

大変な思いをされましたね。これまで一生懸命頑張ってこられたからこそ、傷つかれたことだと思います。
実は、こういう思いをされている方は意外と多くて、みなさんご苦労されています。
というわけで、わたしたちがオススメする「財布を盗ったと疑われた際の対応方法」を、お教えしたいと思いますので、参考にされてください。

画像の説明

まずは、お母さんは「本気であなたを泥棒扱いしているわけではない」ということを理解していただきたいです。

お母さんは、認知症の症状が強くなってきていると思われます。
認知症という病気は、まずは「記憶が途切れる」という段階があります。
記憶が途切れると、人間は不安になります。
不安になると、大切なものは失くさないようにしようと考えます。
そこで、それまで保管していた場所から、新たな場所に財布を移動します。
しかし、財布を移動した場所を忘れてしまい「財布がなくなった」と認識することになります。
ところが、本人は「自分が認知症であること」を認めたくないという意識も働きますので「自分が財布を動かした」のではなく「財布が盗まれた」と、責任転嫁します。
そこで、ターゲットになりやすいのが「普段から近くにいる方」であり、お嫁さんにその矛先が向くことが多いのです。

では、次に「あんた財布を盗ったでしょ?」と疑われた時の具体的な対応方法をお話ししますね。

「あんた、財布を盗ったでしょう?」と言われたら、まずは「財布がなくなったんですか? 大変ですね。一緒に探しましょうね」と言ってください。そして「私は、このあたりを探しますから、お母さんは、そこを探してもらっていいですか?」とお願いします。そして一緒に財布を探して、あなたが見つけたら、見つけた財布をお母さんが捜している付近において「お母さんが見つける」ようにしてください。お母さんが財布を見つけたら「良かったですね~」と言って、終了です。

ここで注意したいことは「お母さん、ほら、ここにありましたよ」とか「しっかり管理しとかないと危ないでしょ」など、お母さんの責任にするような言葉を言わないことです。お母さんは「認知症」という病気で「もの盗られ妄想」という認知症特有の症状が出ているわけで、お母さんとしては「わからないうちに財布がなくなっている」といういうのが現実であることを理解してください。ここでお母さんを責めたら「認知症」の症状がひどくなる恐れもあり、お母さんを責めてしまうと逆効果です。

また、旦那さんの協力もとても重要な要素となります。お母さんを責めてはいけないのはもちろんですが、奥さんの味方になっていただくことが重要です。財布がなくなった時には、みんなで同じ対応をするように、家族内でルールを決めておくと、スムーズな対応が出来て、無用なトラブルを防ぐことができます。

そして、日頃から、お母さんが財布を隠してしまうところも把握しておくことが必要なので、認知症の方が財布を隠す場所として多いところをご紹介しますね。

仏壇の位牌の裏

財布は大事なもので失くしたらいけないと思うから「ご先祖様に守ってもらおう」という意識が働き、位牌の後ろに隠している方が多いです。

仏壇の引き出しの中

位牌の裏と同じ理由で、仏壇の引き出しの中に隠している場合があります

布団の下

自分が寝ている下に財布を置いておけば、誰かが財布を盗ろうとしても、感触でわかるので安心という意識が働き、布団の下に隠す方が多いです。

枕の下

布団の下と同じ理由で、枕の下に隠す方が多いです。

たんすの引き出しの中(洋服の下)

たんすの中は、日常的に「自分しかわからない」場所なので、たんすの中の洋服の下に隠す方が多いです。

米びつの中

「お米が大切な主食」という意識が強いからか、また「お米の中に隠す人はいないだろう」という考えがあるからか、米びつの中に隠すという方もいらっしゃいます。

この6か所を調べていくと、たいがい財布は見つかりますが、それでも見つからない場合もあります。それを防ぐには、お母さんの普段の生活を振り返りながら「大切なものを保管しておくなら、どこだろう?」と推理しながら探してください。

介護する側もされる側も、できるだけ負担がない状態で、毎日を過ごしていただけますように、お祈りしています。


奄美市社協では、介護や福祉の困りごとの解決のために、専門職が介護や福祉の現場で培った経験をもとに、アドバイスさせていただいています。
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